療界の変革はすさまじく、最後まで残った教育界とともに競争原理が導入されはじめたが、効率論のみが議論され、本当の議論である医療の質の議論が少ないと感じている。従来からすすめてきたペーパー的専門医制度は曲がり角にきており、国民は疑心暗鬼の目でみつめつつある。一方我々放射線技師の世界でも、より質の高い医療を行うために作られた認定技師制度が花盛りである。そしてこの1年で大きくハンドルをきったことは、当該学会やある組織集団のみで認定してきた認定技師制度が、多くの関連学会の共同認定という形を形成しつつあることだ。特定の医師の影響下にある団体の認定技師制度や放射線技師会のような特定職能団体の認定は、今後社会的に評価が低くなることが予想される。また第三者の公平な評価が得られない例や、簡単な試験で合格するような安易な認定技師は、淘汰されていくだろう。身近にいる医師や看護師、医療技術者に評価される認定制度にしていかねばならない。そして専門的知識のみならず医療人としての基礎知識も問われるだろう。
そのためには生涯教育制度を再構築し、幅の広い生涯学習を企画実践していかなくてはならない。そのファーストステップとして昨年実施したADセミナー4科目は、技師格を論外として今後の続行も検討すべきである。また本会が実行している胸部、消化管、乳房などの認定技師制度も、本会認定という現状で満足せず、もっと違った観点からも検討すべきと思っている。
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