■巻頭言 埼玉放射線Vol.53 No.6 2005

日本一の努力をして、日本一になろう

社団法人 埼玉県放射線技師会

会長 小 川  清




日本一の努力をして、日本一になろう」これは埼玉県S市にあるS高校吹奏楽部の部訓である。私はこの部訓を7年前に初めて聞いたとき驚き、そして感動した。崩れた格好の高校生が多い中、きちんと制服を着こなし、その上、高い志をもって目標に向かってすすんでいこうという彼らの姿勢に、胸が熱くなった。

努力をすればしただけ報われるのか、いや日本一の努力をしたからといって、必ず日本一になれるわけではない。実力があっても、その時の状況や運により、そんな簡単に日本一になれるものではない。大切なことは報われるまで努力し続けることであろう。努力してもうまくなれないかもしれないけど、努力しないと絶対にうまくなれない。彼らは、それを3年間の短い時間のなかでしなければならない。成功した者はすべからく努力しているものである。

 最高の音楽を奏でるには、良い楽器が不可欠である。良い楽器を用い、高い実力を備えたプレーヤーに奏でられた音は、聴衆を魅了する。質の良くない楽器を使うと、音がスムーズに出ず変な癖がつく。一流のバイオリン奏者が数千万円のバイオリンを求めるのも、万人には理解できないかもしれないが、至極当然なことである。初心者においても、良い音が出やすい良質の楽器を使った方が望ましいが、楽器は一般に高価であり手に入りにくい。やはり練習を重ねて実力を高めるしかない。練習は高価でなく、でも一番効果がある。





 ルフがうまくなりたかったら良いクラブを選べと、道具としてのクラブ選びが大切と先輩に教えられた。私自身は、ゴルフにあまり興味がなかったので、ある方からいただいたクラブを使用して約10回ラウンドしやめてしまった。練習という努力もせず、良い結果を求めても所詮無理がある。ゴルフを趣味にしている人は新しいクラブが登場すると、スコアアップを目指して、直ぐに新しいクラブを購入する人が多い
 
 タイガーウッズのような身体能力の優れたアスリートとはまったく比較できないが、本人の実力や身体能力をベースにして、手本にしているプロゴルファーに照らし合わせてクラブを比較購入するらしい。横峰さくらがプロモーションするD社
XXIOクラブが、男子アマチュアゴルファーに大人気で販売が好調であるのに対し、宮里藍のB社の販売成績は低調と雑誌に書いてあった。

 その理由としては、B社は上級者を対象にしたクラブであるからと評論家は述べていた。クラブ作りには、スライサーという右の方に飛んでいく傾向が高い人が使いやすいクラブ、フッカーという左に弾道がいきやすい人が好むクラブ等、単なる実力レベルのみならず、そのゴルファーの身体力によって決まってくる弾道を修正するクラブの選択ができることを初めて知った。でも右にいったり、左にいったりする人のクラブ作りはきっと難しいのだろう。
ゴルファーの技術と、その技術に即した道具が高いレベルで調和しなければスコアアップは望めない



 具を使うには技術が必要ということは会員の皆様方におかれても常々実感されていると思います。特に、昨今の技術革新の進歩に及び、扱う技術が「おいてけぼり」をくっている状態もしくは必死に追いつこうとしている状況かもしれません。

 追いつこうとしている部分はよいのですが、道具の質の高さが技術の向上を求めない域に近づきつつあるかもしれないのです。道具の高さに技術が追いつき、道具を自由自在に扱えるよう心身とも鍛錬をしていきましょう。




 て我々放射線技術(技能)を測る「ものさし」はどこにあるのでしょうか。二人以上の職場であれば一対比較にて測れますが、客観性が乏しいですね。認定技師制度でどこまで、どのくらい測れるでしょうか。皆様感じられているようになかなか難しいのです。完璧で完全な評価法などないのです。
 
 でも評価法の限界を知りつつ第三者評価を実施していかなければならない時代に入っているのです。
その変化を受け入れなければならないのです。ただ誰でもとれる認定だけではなく、段階を経て頂上に近づくよう努力を続けられるような価値観が望ましいのです。日本一になる志をもって努力していくことです。