2006

No.6

埼玉放射線Vol.54

■巻頭言

淘汰と再編
埼玉県放射線技師会 会長 小川清
 企業と企業のM&Aが新聞を賑わしている。外資系のみならず日本的経営と言われている企業までが将来対策として、グローバルな生き残りをかけて必死に動いている。いわゆる護送船団方式が大きくシフトされ、自己責任が問われ、先読みをしない企業や組織は生き残れない世の中になったのだろう。
 日本のみならず、お隣韓国でも、欧州のドイツでも高齢化と少子化による人口減少現象が急速に社会を追い詰めてきた。どこでもそうであるが自由には格差がつきまとう。東京と地方、大きな都市と田舎の小さな町、全てにわたって競争したときにスケールメリットがあるものがほとんど勝つ。
 競争は企業社会だけだとおもっていたが、競争社会と一番遠くにあった医療や教育の世界まで競争が一気に流れ込んできた。慌てふためく状況が垣間見られ、競争をすべてに前面に出すもの、成果主義や効率主義などを勘違いしている競争など、人間相手の医療や教育界に大きな混乱をきたしている。
「大学よお前もか」大学の姿が激変しつつある。1990年頃から大学設置基準緩和によって大学の新設が相次ぎ、現在は500校以上に増えている。市場規模を無視した乱立というほかない。新聞によると慶応義塾と共立薬科大が合併を発表し世間を驚かした。創立者の建学理念を掲げた私立大学も、志願者の減少による存亡の危機管理として仕方がないのだろう。ここでも経営感覚が厳しく問われている
 さて平成18年9月12日、埼玉県の社団法人、財団法人の関係者が集められ、行政改革推進本部から派遣された講師による「公益法人制度改革の概要」について説明会が開かれた。会場は約500名の関係者で溢れていた。

 公益制度改革とは、民間非営利部門の健全な発展を促進し、法人の多様性に対応するため、公益法人の設立認可制度を改め、登記のみで法人が設立できる一般社団法人と、そのうちの特に公益目的事業を行うことを主目的とし民間有識者による委員会の意見基づいて認定する公益社団法人が創設されたものであります。公益法人を認可されるには公益精神に則り公益事業を推進していくことが課せられています。この法律は平成18年6月2日に交付され、2年6ヶ月を越えない時期に法律が施行され、5年間の移行期間が与えられております。この間に一般法人として移行手続きをするのか、申請し民間有識者による委員会の意見に基づき行政庁が認定する公益法人を目指すのかを判断しなければいけません。一般法人は登記のみで設立可能ですが公益法人は公益性の判断がされ、事業の二分の一以上に公益性が求められており、会員の福利厚生は大幅に削減され、したがって定款改正が求められるという大事業となります。まとめますと今までの監督官庁による「箸の上げ下げ」的な指示はなくなり、自主的な運営活動が求められています。当然ながら二階(公益法人)を目指していくわけですが、関係団体の動向や情報を集め時間をかけて審議していきたいとおもいます。

 本会は会員の皆様の満足をかなえつつ、公益にも評価される法人を目指して、会員の皆様に新定款を提示しつつ、会員の皆様と一緒に新しい時代の公益法人に向かって努力していく所存です。今後ともご指導ご支援を賜りますようよろしくお願いいたします