2007

No.1

埼玉放射線Vol.55

■巻頭言

『改革は信頼できる人の手で』
埼玉県放射線技師会  会長  小川 清

新年あけましておめでとうございます。皆様には健やかに平成19年の新春を迎えられたこと、心からお慶び申し上げます。

 また、埼玉県放射線技師会の活動に対しまして、平素から格別のご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。おかげを持ちまして埼玉県放射線技師会の平成18年度事業も、皆様方のご協力により順調に展開しております。

 TVのワイドショーは自殺やバラバラ殺人事件が多発し物騒な社会になっているとフラッシュ的に報道しております。一方TVドラマは少年から青年への移行期にある凛とした美しさをもつ若者を映し出しておりました。140年前に理不尽さを嘆きつつも白虎隊は「会津のため、殿のため」と死んでいき、60年前には特攻隊が「お国のため、天皇のため」と死んでいきました。人は彼らを「立派に死んだ」と賞賛しますが、「もう少し時の流れが緩やかであったなら」と堀内孝夫が唄ったように「どうにもならない時の流れ」と「リーダーの徳」について考えさせられました。

 18日は成人式があり、全国で139万人が二十歳を迎えました。その数は60歳人口の約6割だそうです。今の二十歳は子供の頃から携帯電話やインターネットに囲まれて育ち、これらの道具を使いこなす感覚には我々はかなわない。ネットコミュニケーションについては問題もあるが、是非とも放射線技師の世界に飛び込んできてほしい。でも三連休づくりのための18日の成人式はどうもなじめない。伝統の歳事と実生活をつなぎ止めていた暦の縛りは、消えかけている

  「ひと」がすべての医療において、いかにして医療人の質を高めるか。医師や看護師の人数不足が叫ばれ、まず数の論理が先行し、何をするからどんな医師や看護師が欲しいというような質の稟議は後回しだ。その中で放射線技師に未来はあるのだろうか。多くの大学卒業者が臨床の現場に出てきているが、放射線技師の仕事に大きな変化は起こっていない。大学を卒業し、臨床経験を積んで社会人大学院(専門職大学院)へ、そして再度臨床の場へという技師がリーダーになればいくらかは変わるだろうか。いや変わらないか。でも下地だけはきちんと作っておきたい。

 社会の変化に対応していくために、技師会も変革を続けていくことについては誰も意義を唱えないであろう。しかしその問題点はそのタイミングと誰が旗をふるのかという点であり、「どこを向いているのか」がよく見えるようにすることが大切だと考える。私たち埼玉県放射線技師会は愚直にも正直に嘘をつかない組織、信頼される組織人を目指して進んでいきたい。一方で「何もしないことが一番よいこともあるのだ」と言われないように・・・・。

 最後に今年一年が皆様にとりまして、明るく平和な年になりますよう、心からお祝い申し上げます