2007

No.5

埼玉放射線Vol.55

■巻頭言

「公益法人制度改革っていったいなんだ」
埼玉県放射線技師会  副会長  堀江好一 
 今年5月、社団法人日本放射線技師会(以下、日放技)総会において、定款改定が成立した。あのような改定案が、あれほど多数の賛成委任状を集めることができたことに驚きを感じたが、「別に関係ない」とか「興味ない」「良く解らない」「電話がかかってきたから」という会員が多いことは想像に難しくない。
 そしてこの時、日放技執行部が「公益法人制度改革に向けて定款改定が必要だ。厚労省が作った雛形に従って作った。」ということを繰り返し強調していたのをご記憶の会員も多いと思う。果たして、あの改定案が雛形どおりのものであったのか、雛形そのものが本当に存在したのかについてここで私見を披露することはしないが、少なくとも公益法人制度改革を避けて通ることができないのは疑いようのない事実だ。

 日放技も社団法人埼玉県放射線技師会(以下、埼放技)も、規模の違い、主務官庁の違い(日放技は厚労省医政局、埼放技は埼玉県医療整備課)こそあれ、どちらも独立した公益法人なので、私たち埼放技にとっても公益法人制度改革は避けて通れないものだ。
 そもそもなぜ公益法人制度改革が行われることになったのか。現在は、主務官庁の許可を受けて一度公益法人と認められると、活動自体が変化しても公益法人格を持ち続け、法人税等の優遇措置を認められているという現実がある。また、行政委託型公益法人(丸投げ法人・丸抱え法人・天下り法人)も少なくない。このような問題を解決するため、真に公益性のある組織だけを公益社団法人・公益財団法人として残し、それ以外は優遇措置の無い一般社団法人・一般財団法人、あるいは解散させるという方法がとられることになったのだ。

 実際のところ埼放技は、会員の技術や知識の向上を図って医療の向上に貢献したり、医療画像展の開催など、十分に公益活動を行っており、何ら問題のない公益法人であると認識しているが、反面、同業種団体として公益よりも共益のために存在していると疑われない一面も持っている。
 乱暴な考え方をすれば、どうせ優遇措置などほとんど受けていないのだから、我々のやり方が認められないのであれば一般社団法人になれば良いという理論も当然である。しかし、平成20年12月に施行されるであろう新しい法律は、それすら簡単に許してくれない。5年間の移行期間内に公益性が認められずに一般社団法人に移行する場合、埼放技の正味財産(技師会センターの土地や建物等)は、他の公益社団法人へ寄付するか、公益事業にすべて支出するかを余儀なくされる運命にあり、今さら後戻りもできない状態にある。しかも、諸先輩方が並々ならぬ苦労して手に入れた社団法人格を簡単に捨て去ることはできないと思う。

 公益性を認定され公益社団法人に移行するには、これからいくつものハードルを超えなければならないし、とても私たち素人だけで実現できるものではない。そこで、今年度から、公益法人行政に詳しい会計事務所と顧問契約を結ばせていただいた。これから公益社団法人に移行する過程で定款改定が必要になるし、年1回の総会も、予算総会と決算総会に分けて行わなければならなくなる。時間もお金も必要だが、会員の皆さまのご理解とご協力をお願いしたい。

(公益法人改革の詳細は以下をご参照ください。
http://www.gyoukaku.go.jp/siryou/koueki/pamphlet.html)