放射線検査紹介
一般撮影検査
健康診断で行う胸部撮影や、ケガをした時に骨折の有無を調べる撮影で、エックス線を使用する代表的な検査です。
最近では、撮影した画像をデジタルで取り扱い、さまざまな画像処理を行って、診断価値の高い画像を医師に提供しています。
異常像に気づいた時は、コメントを添えて医師の読影を補助することも行います。
X線CT検査
CTとは
Computed Tomography(コンピュータ断層装置)の略語です。
人体の周りをX線管球が一回転する時に多数の画像を得ることができます。
現在では、螺旋状スキャンが主に使われています。
機器の進歩に伴い、撮影した画像から得られる情報量は増加しています。実際に最新のCTで撮影した臨床画像を紹介します。
検査に伴う医療被ばくについては診療放射線技師がお答えします。
胃X線検査
胃がんとは
日本人が罹患する最も多いがんは、胃がんです。
胃がんは、検診の普及、食生活の変化、医療の進歩などにより死亡率は減少傾向にあります。しかし、依然として死亡者数の多いがんです。
胃がんの発生初期は自覚症状がほとんどなく、放置しておくと瞬く間に進行する場合がごくまれにあります。早期に発見するためには、検診を受けることがとても大切です。
胃X線検査とは
胃X線検査は、厚生労働省より胃がんによる死亡率減少に効果があると推奨された検査法です。
検査は、発泡剤(胃を膨らませるお薬)とバリウムを飲んでもらい、撮影台の上でいろいろと動いてもらい写真を撮影します。
近年は、バリウムも少量で飲みやすく改善され、また診断精度も向上しております。胃がん検診では、代表的な検査法となります。
40歳を過ぎたら、1年に一度は、胃がん検診を受け、早期発見、早期治療にこころがけましょう。
マンモグラフィ検査
乳がん検診は、問診と視触診・マンモグラフィ検査・超音波検査等により行われます。古くは問診と視触診のみによる乳がん検診が多く行われてきましたが、
その後、厚生労働省の指針により、視触診とマンモグラフィ検査を併用した乳がん検診が主流となっています。
・早期なら約90%が治癒します 早期発見のため定期検診が必要です。
残念ながら乳がんの予防方法はありません。早期発見・治療が最善の対策法。早期なら約90%の方が治ります。早期発見のために、マンモグラフィを併用した乳がん検診を受診しましょう。
乳がん症例の一例です。
・マンモグラフィとは乳房専用のX線撮影のことです。
乳房はやわらかい組織でできているため専用のX線撮影装置を使用します。一方の乳房に2方向の撮影を行います。撮影は約15~20分程度です。
また、マンモグラフィは乳房のすみずみまで(脂肪や軟部組織など)はっきり写し出すことができます。
乳房の中味を見えやすくするために、 なるべく均等に圧迫をかけて乳房を平らにして撮影します。その方がよく見えてX線の被ばくも少なくなります。
健診をご希望の方は、お近くの医療機関にご相談ください。
MRI検査
MR?MRI?なにがちがうの?
MRIとはMagnetic Resonance (Imaging=画像)の頭文字を取ったものです。日本語では、「磁気共鳴(画像)」となり、答えは同じです。一般的には「MR検査=MRI検査」という訳です。
MRI検査は、何をするの? 検査方法は?
ベットに寝て大きな磁石(装置)の中でじっとして居れば検査は終わります。MRI検査は体の動きに敏感(動きに弱い)なので、検査中は動かないで下さい。顔面や頸部の検査では、喉の動きの影響を受けますので、唾液の飲込みも控えてください。検査中に体を動かしてしまいますと、撮像した画像が「ピンボケ」になってしまいます。検査中、「トントントン」や「カンカンカン」などの大きな音が鳴りますが、音がするだけで何も感じませんのでご安心下さい。また腹部検査や骨盤部検査の時には、呼吸停止をお願いすることもあります。診断価値のある画像を得るためには、受検者の協力が必要ですので、ご協力をお願いします。
MRI検査は、どのような画像が撮像できるの?
体の断層面を撮像することができます。輪切り(横断面)、縦切り(矢状断面)、横切り(冠状断面)とどのような角度からも体の中を観察することができます。
CT検査では造影剤を注入(静脈注射)しないと観察できない血管の情報をMRIでは造影剤を使用せずに観察できますので、非侵襲的な検査となります。
急性期脳梗塞の診断はMRIが有用を言われています。呂律が回らない、手足が動かしづらい等の症状がありましたら、お近くの医療機関へご相談下さい。
また、MRIは断層面を撮像するだけではありません。一部の機器では、機能的検査を行うことも可能です。「手指を動かす時に脳の、どの部分を使用しているのか?」
「物を見る時はどの部分?」などがわかります。これは、手術を行う時に非常に重要な情報となります。
MRI検査を受ける時の注意事項
MRI検査では、磁性体(磁石に引き寄せられる材質物)を検査室へ持ち込むことができません。身につけている貴金属製品は外して検査をお受け下さい。
また、心臓ペースメーカー装置を使用している方は、MRI検査をお受け頂くことが出来ません。使用されている方は必ず検査スタッフへその旨をお伝えください。
その他、体内に金属製品(脳動脈クリップ、人工関節、骨折固定のプレートなど)を使用されている方もお知らせ下さい。
血管造影検査治療
血管造影検査 治療
血管造影検査 治療
隣の写真は血管造影検査や血管内治療の際に使用される装置です。
X線透視を見ながらカテーテルというストローのようなものを血管に挿入し、X線にうつる造影剤という薬を血管に流して撮影します。
心筋梗塞や、くも膜下出血などの診断・治療に使用されます。
冠状動脈(心臓)の狭窄している部分にステントというチューブ状の金属を留置して血管を拡張する治療(ステント留置術)
くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤にコイルを詰めることによって破裂を防ぐ治療(コイル塞栓術)
PET検査
PETは、がんの早期発見に有効な検査です。
・がん細胞はブドウ糖を大量に摂取する特性があります。
PET検査は擬似ブドウ糖に陽電子放射性物質を合成した薬剤(FDG)をつくり、受診者の体内に注射で投与します。
FDGはがん細胞に集まるため、検査画像はがん細胞のある箇所が光って写し出されます。そのため、がんの早期発見に威力を発揮します。
・PETとはPositron Emission Tomographyの略で、日本語では「陽電子放射断層撮影」を意味します。
PETでわかるもの
・がんの早期発見(がん存在の確認)
・がんの性質(悪性度)診断
・治療効果の判定
・予後のケア(転移および再発巣の診断)
・PETによるがん診断は薬剤を取り込まれたがん細胞だけが光るため、
それがどの臓器にあるか分かり難い場合があります。そのため臓器の形状を撮影できるCT装置とPETを一つに組み合せた装置(PET/CT装置)もあります。
骨密度検査
私たちの骨は20代から30代にかけてピークとなります。骨量の減少自体は生理的なものですが、若年時の30%位の骨量が減少し、骨の微細なネットワークが弱くなって、骨がスカスカになった状態が骨粗鬆症と呼ばれます。
骨粗鬆症になっても、最初は何の症状もありませんが、そのうち腰や背中が痛くなったり、曲がったりしてきます。ひどくなると骨折を起こして寝たきりの原因にもなります。骨粗鬆症や骨量が減少している患者さんを見つけるのに骨密度の測定が有効です。
骨密度の測定にはX線や超音波などを用いたいろいろな方法があります。測定する部分も腰椎、橈骨(腕の骨)、大腿骨頚部、踵骨、中手骨(指の骨)などさまざまです。
DXA(デキサ・二重エネルギーX線吸収法)と呼ばれるX線で測定する方法は、2種類のX線を骨にあてて、X線の吸収率から骨量を測定する方法で、腰椎や大腿骨の海綿骨や、
手首などを測定します。骨量変化が海綿骨に現れやすい若い女性や、閉経直後の女性にも適した測定方法で、病院などで広く精密検査に用いられています。
超音波検査
超音波とは・・・
人間の耳で聞き取ることのできる音域は、約20~20,000Hzとされています。これより高い周波数の音を「超音波」といいます。
どのようにして画像になるの?
人体の表面より体内に向け超音波を発射すると反射(エコー)が返ってきます。この性質を利用して反射した超音波を受信し、画像化する事で診断に用います。腹部、心臓、乳腺、甲状腺、泌尿器や産婦人科など幅広い分野で使用されています。
検査の特徴
・特別な準備を必要とせず操作が簡便。
・生体への障害がほとんどない。
・小型でベッドサイドでも使用可能である。
・血流の情報も得られる。
・苦痛の少ない検査である。
核医学検査
核医学検査は、RI検査・アイソトープ検査などとも呼ばれ、放射性医薬品を用いてからだの中を調べる検査です。
この薬は特定の臓器や組織などに集まり、そこから放射線を発します。この放射線を専用のカメラで測定し、画像として映し出すことで、臓器の形状や働き(機能)がどの様になっているのかがわかります。
放射線治療
放射線治療(療法)は、
米国は、radiation therapy 欧州では、radiation oncology ・radiotherapy といいます。
日本でも開創手術療法、抗がん化学剤療法とともに癌(がん)に対する主要な治療法の一つです。
がん治療には、根治(完治)、延命、緩和の目標がありますが、放射線療法はこの全てに適応されます。
がんを完治させる可能性があるのは手術と放射線療法だけであり、しかも放射線療法は患者の負担が少ないやさしい治療法で、高齢者の方にも適応できます。
がんが発生した臓器の機能と形態を維持できる治療が行えることを特徴とします。
放射線を病巣局所に照射してがん細胞のDNAを損傷させてダメージを与えます。
副作用としては、使用される放射線によって正常組織にも多少の影響を与えます。
その影響である症状も様々ですが、放射線治療の効果に比べてこの影響は十分に小さく、その大部分は治療後、数か月で自然に治まります。